AarogyaAI が AWS 上で AI/ML を使用して薬剤耐性を正確に診断

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創業者はスタートアップの夢をよく知っています。人生経験、勝利、敗北、データ、イテレーション、そして時には幸運の蓄積に基づいて築かれたこの夢は、「このようなすばらしいアイデアを思いついた」という段階から可能なことを証明するに至るまでの旅にスタートアップを連れ出します。

インドのヘルスケアおよびライフサイエンス (HCLS) のスタートアップである AarogyaAI は、最高経営責任者 (CEO) である Praapti Jayaswal 博士によれば「共同創業者と私が学界で行った研究を活用し、人間の健康に変革を起こす」という夢に基づいて設立されています。AarogyaAI は、人工知能と機械学習 (AI/ML) を使用して、細菌、真菌、ウイルスの病原体によって引き起こされる患者の薬剤耐性を迅速に診断します。これにより、臨床医はデータに基づいて治療を決定し、効果的に治療し、患者の健康転帰を高める薬剤を処方できるようになります。

Jayaswal 氏と、その共同創業者であり、かつ、最高技術責任者 (CTO) でもある Avlokita Tiwari 氏の友人関係は、2012 年に、自宅からインドのファリーダーバードにある Translational Health Science and Technology Institute の研究室までの 30 マイルの相乗りでのドライブ中に始まりました。Jayaswal 氏は結核研究の博士号取得に取り組んでおり、Tiwari 氏は Junior Research Fellow でした。

二人の友情は 2019 年にも続いていました。その年、Tiwari 氏は「仕事を探している」と Jayaswal 氏に伝えました。Jayaswal 氏は「仕事を探すのではなく、一緒にこの会社を立ち上げよう」と答えました。Tiwari 氏はためらうことなく、単に「いいよ」と答えました。

それをきっかけとして AarogyaAI が設立されました。同社は 2023 年 5 月に創業 4 周年を迎え、現在 9 件の臨床および商業的なパートナーシップを結んでいます。同社は Amazon Web Services (AWS) クラウド上で 6 つの感染症パイプラインのほか、20,000 近くの病原体ゲノムのリポジトリも実行しています。

現代の医療で何が可能かを証明する

「私たちは、治療可能な病気で人々が亡くなっている状況に不満を抱いていました。2018 年には、細菌感染症を治療するための薬が 19 種類もあったにもかかわらず、結核が最も致死性の高い感染症だったのです」と Jayaswal 氏は述べています。「私たちは、人々を豊かにするために AI が使用されているのを見てきましたが、病気の人をより健康にするために使用されているのを目にしてきませんでした」。

Jayaswal 氏と Tiwari 氏は、AI を使用して薬剤耐性についての正確な診断を治療現場で可能にすることを通じて、この状況を変えることを決意しました。AarogyaAI を利用すると、臨床医は患者の検体のゲノム配列を、AWS 上に構築されたアプリケーションである AAICare に入力できます。Jayaswal 氏と Tiwari 氏は両者とも、誰もが効果的な治療にアクセスでき、そうあるべきだと信じています。「当社のビジョンは、治療現場でゲノミクスを利用できるようにすることです。AWS でのコンピューティングにより、より多くの人々の転帰を改善するために、治療に関するデータ駆動型の意思決定の推進に一歩近づくことができます」と Jayaswal 氏は説明します。

AAICare は、存在するすべての病原体と、それらの病原体の薬剤感受性を定量的および定性的に特定します。さらに、AarogyaAI の ML モデルは Amazon SageMaker 上に構築されており、薬剤耐性に寄与する検体内の変異を検索および予測します。

「テクノロジーは数十年にわたって進化してきましたが、臨床現場で使用されることはほとんどありません」と Jayaswal 氏は述べています。「当社はそのような状況に変化を起こしているのです」。

AarogyaAI は、事前予防的な医療が、今日一般的に行われている事後的な医療と同じ程度に普通になり得ることを証明しています。「当社は、病原体やスーパーバグの現在のゲノミクスが将来の傾向を予測できることを実証することに取り組んでいます」と Jayaswal 氏は述べています。「新薬が登場するとき、既に 10 年遅れています。SARS-CoV-2 のようなウイルスが発生して、世界中、すなわち、80 億人に大混乱をもたらすときに、その目に見えないものに翻弄されないようにするには、テクノロジーを応用して先んじて医薬品を生み出せるようにする必要があります」。

病原体の進化に関する傾向を生物学的および科学的に理解するために、「AI とゲノミクスを組み合わせるインテリジェントゲノミクスが当社の研究の核心となっています」と Tiwari 氏は説明します。「これは、病原体の進化についての関連情報を抽出するというビジョンの下で、今日における治療法に関する意思決定を下すのに役立ちます。そして、このことは、パンデミックに備えるための公衆衛生政策を策定する上で有益です」。

AWS でスタートアップを構築する

Jayaswal 氏と Tiwari 氏は、安全で信頼性が高く、スケーラブルなヘルスケアアプリケーションを構築するために、AWS を全面的に採用することにしました。

Aarogya AI は、エンジニアリングチームにとって設定および管理するのが面倒なタスクを完了するために、SageMaker、Amazon Relational Database Service (Amazon RDS)Elastic Load Balancing などの AWS マネージドサービスを利用しています。これにより、AarogyaAI は、テクノロジーデータセンターの運用やそれに伴うオーバーヘッドではなく、製品の機能開発により注力できるようになります。

「AWS を利用することの最も優れている点は、すべてが非常にシームレスであることです」と Tiwari 氏は説明します。「AWS のさまざまな機能をすべて理解し、それらの機能がどのように当社の目標をサポートできるかを理解することは、すばらしい学習体験でした。当社は AWS にとても満足しています」。

スタートアップとしての成長を加速するために、AarogyaAI は AWS ML Elevate に申し込み、参加が認められました。AWS ML Elevate は、AI/ML スタートアップが自社のイノベーションを紹介するのをサポートするインドベースのプログラムであり、メンターシップと、ベンチャーキャピタル (VC) チャネルへのアクセスを提供します。

機械学習モデルをトレーニングおよびデプロイする

ML モデルは、患者の検体を正確に分析し、将来の傾向を予測する AarogyaAI の能力の鍵となります。SageMaker は、完全なコントロールと可視性を提供しながら、データサイエンスチームが ML モデルを構築、トレーニング、微調整するのに役立つ AI/ML ソリューションです。「AI/ML モデルの構築とデプロイには SageMaker を利用しています」と Tiwari 氏は述べています。AarogyaAI は、研究成果を現実世界のアプリケーションに変換するというアイデアを念頭に置き、グローバルおよびローカルのゲノムデータセット (パブリックに使用可能なものとオンサイトで生成されたものの両方) を使用して SageMaker モデルをトレーニングします。

「当社のプロダクトリードは、入社時点では AWS の利用経験がありませんでした。データサイエンスと AI/ML アルゴリズムは知っていましたが、AWS の利用方法は知りませんでした」と Tiwari 氏は述べています。「SageMaker は非常にユーザーフレンドリーなので、このプロダクトリードは SageMaker の利用をすぐに開始し、ML ソリューションを構築する方法を理解することができました」。

ML モデルの計算は、オンデマンドで安全かつ信頼性の高いコンピューティングキャパシティを提供する Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2) を利用して実行されます。オブジェクトストレージについては、AarogyaAI は Amazon Simple Storage Service (Amazon S3) を利用しています。

クラウドコストを最適化してビジネスに再投資する

製品開発の次のステップとして、AarogyaAI は、AI アルゴリズムをより堅牢にして、より多くの病原体を分析できるようにしたいと考えていました。「当社は AWS を利用して ML の実験を実行しました。迅速かつ効率的でした」と Tiwari 氏は述べています。「当社は結果にとても満足していました。AWS のおかげで、これらの実験から必要なデータを入手し、より多くの病原体を含めるようにアルゴリズムを調整する方法を学ぶことができました」。

AarogyaAI が製品を拡張する方法を実験および学習するにつれて、使用する計算量が増加し、AWS の請求額に影響が及びました。しかし、AWS Activate (スタートアップの構築とスケールをサポートするプログラム) のメンバーとして、同社は 100,000 USD 相当の AWS クレジットを請求に適用することができました。

さらに、「インドと米国の AWS は両方とも、コスト最適化のさまざまな側面について惜しみなく教えてくれました。ほぼ即座に請求額を 38% 削減することができました」と Tiwari 氏は述べています。「AWS がクラウドコストへの対応をサポートしてくれたことに、当社は非常に満足しています。これで、構築を続けることができます」。

AarogyaAI とクラウド上のヘルスケアの将来を見据えて

Jayaswal 氏と Tiwari 氏の両者とも、より公平で効果的な医療の未来はテクノロジーと結びついていると確信しています。「医療は最重要分野の 1 つとして、急速によりテクノロジー駆動型になっていくでしょう」と Tiwari 氏は述べています。「当社にとって、新しいテクノロジーの登場に合わせて適応できる機能とスケーラビリティを備えた製品を作ることが重要です」。

医療とテクノロジーが交わり、急速に発展しつつあるこの領域において構築を進めている他の企業のために、Jayaswal 氏は次のように助言します。「私が他の創業者にお伝えできる最も重要なことは、真っ直ぐに奥深くまで飛び込みましょう、ということです」。Jayaswal 氏は次のように説明します。「誰かへの連絡、E メールの送信、架電、ビジネスの立ち上げ、特許の申請に完璧な時期が訪れることはありません。架けた電話が正しくても、間違っていても、最終的には好ましい結果が得られるでしょう」。

AarogyaAI は、スタートアップジャーニーの次のステップとして、特に米国で製品をより広範囲にデプロイすることを計画しています。「インド、シンガポール、アジアパシフィック、米国で AWS から非常にすばらしいサポートを受けてきました」と Jayaswal 氏は述べています。「当社は AWS と共同で商用化を開始できることをうれしく思っています」。

「2012 年、Avlokita と私がよく相乗りして研究室に通っていたとき、計算生物学により臨床試験を不要にするなど、壮大な夢について話し合っていました」と Jayaswal 氏は笑います。「AarogyaAI と AWS のおかげで、私たちの壮大な夢が徐々に現実になりつつあります」。
Megan Crowley

Megan Crowley

Megan Crowley は、AWS の Startup Content Team の Senior Technical Writer です。高校の英語教師としてのキャリアを持つ Megan は、教育的かつインスピレーションを与えるコンテンツに貢献したいという絶え間ない熱意に突き動かされています。スタートアップのストーリーを世界と共有することは、AWS での Megan 役割の最もやりがいのある部分です。余暇には、木工品を制作したり、庭で遊んだり、アンティークマーケットに出かけたりしています。

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