Altium が、AWS 上の Altium 365 でリモートエレクトロニクス設計を可能に
2021 年
エンジニアや設計者の間で世界で最も広く使用されているプリント回路基板 (PCB) 設計ツールの開発元である Altium は、サプライチェーンと製造現場を PCB 設計とつなぐデジタルサービスを通じて、エレクトロニクス業界に変革をもたらすことに尽力しています。PCB の設計と実現のための世界で唯一のクラウドサービスである Altium 365 は、この目標の達成のためにアマゾン ウェブ サービス (AWS) を使用しています。
Altium 365 は、PCB 設計における業界標準である Altium Designer と協調して動作し、PCB の設計と製造に最も適したエクスペリエンスを提供します。Altium 365 の導入により、設計チームのメンバー間の伝達ミス、設計反復回数、および製品の市場投入までの期間を大幅に削減できます。Altium 365 のクラウドベースのサービスは、複数の AWS のサービスを使用して、PCB 開発プロセス全体でシームレスなコラボレーションポイントを作成することにより、Altium Designer を PCB 設計の次の次元へと導き、業界で最も適した設計エクスペリエンスを実現します。COVID-19 のパンデミックにより、多くの Altium のユーザーがオフィスを離れてリモートコラボレーションに順応しなければならなかったため、Altium 365 は特に役立ちました。
どこからでもアクセスでき、コラボレーションできることが重要です。どのデバイスでもどこにいても、AWS 上の Altium 365 にアクセスして、必要なことを行うことができます”
Leigh Gawne 氏
Altium、チーフソフトウェアアーキテクト
設計者、エンジニア、およびメーカーによるクラウド上でのコラボレーションを可能にする
1985 年、後に Altium として知られるようになる会社が、高価で複雑な PCB 設計ツールに代わるものとして、低コストで簡単にアクセスできる最初の PCB 設計システムを開発しました。それ以来、Altium は、自動車、家電、ライフサイエンスなど複数の業界からの信頼を受け、PCB 設計ソフトウェアの分野で最も需要の高いブランド企業となりました。「Altium は Windows ベースの最初の統合設計システムを提供し、通常であれば別々であった回路図とレイアウトを統合しました」と Altium のチーフソフトウェアアーキテクト、Leigh Gawne 氏は言います。「これが先駆けとなり、電子機器や設計のエンジニアが設計環境内で PCB を 3D で可視化できるようになりました」。
エレクトロニクス業界のさまざまな関係者同士の連携の仕方に、長期的な変化が起こりつつあります。在宅勤務、オフィス勤務、出張など、デスクトップに縛られることなく世界のどこにいても仕事ができる環境に対するニーズは、これからも変わることはありません。Altium は、Altium Designer のユーザーエクスペリエンスのコラボレーション性と利便性をこれまで以上に強化することで、エンジニアや設計者がどこからでも作業を行い、誰とでもつながることができる道を切り開こうとしています。「Altium 365 を使用すると、ユーザーは、知的財産の安全性と設計の管理を維持しながら、自分の選択した関係者と参加者 (Altium Designer を使用していない人も含む) をまとめることができます」と Gawne 氏は説明します。「このクラウドベースのサービスは、設計マネージャーからメーカーまで、関わっているすべての関係者に PCB 設計を共有し、可視化し、マークアップするためのまったく新しい方法を提供します。また、他の設計者が同じ PCB 設計に接続し、Altium Designer を使用して変更を加えることも可能です」。
チームのメンバーは、設計、ライブラリ、および参加者を一元的な場所にまとめ、設計へのリンクを共有することで、シンプルでリアルタイムのコラボレーションを実現できます。いつでも、どのデバイスからでも、どこからでも設計にアクセスできます。Altium 365 は、コンピュータ支援設計に固有のインテリジェンスを使用することにより、プロジェクト、ファイル、およびバージョン履歴にアクセスして、ウェブ上で簡単にナビゲートできるように設計データを保存できます。
Altium は、オンラインフォーラムなどの小規模なアプリケーションを既に AWS に移行していましたが、既存のシステムをクラウド用にリファクタリングするために、再び AWS に目を向けました。「クラウド向けにリアーキテクトすることは簡単ではありません」と Gawne 氏は言います。「そのため、既存のサービスを適切な場所で使用し、新しいサービスを適切な場所で採用できるようにしたいと考えていました。AWS のおかげで、システムの移行がよりシンプルで簡単になりました」。 例えば、チームが使用したのは AWS ソフトウェア開発キットですが、これにより、ユーザーが好みの開発言語やシステムを使用して AWS のサービスにアクセスし、管理することが可能になります。これらのキットを使用することで、チームは従来のファイルシステムから Amazon Simple Storage Service (Amazon S3) に簡単に切り替え、オブジェクトのバージョニングなどを利用できるようになりました。Amazon S3 は、業界最高水準のスケーラビリティ、データ可用性、セキュリティ、およびパフォーマンスを提供するオブジェクトストレージサービスです。
AWS でグローバルなコラボレーションと製造の効率化を実現する
2020 年 5 月に正式にリリースされた Altium 365 は、設計、製造、および供給に関わる主要な関係者がグローバルなサービスでコラボレーションすることを支援します。COVID-19 のパンデミックの期間、このシームレスなコラボレーションと情報へのアクセスは非常に重要でした。例えば、グローバルに展開した「オープンソース人工呼吸器プロジェクト」のチームは、医療サプライチェーンの負担を相殺するために、Altium 365 を使用して実際の現場で使用する緊急用人工呼吸器を迅速に製造しました。
Altium 365 は、すべてのユーザーが個別のデータベーススキーマを定義するマルチテナントアーキテクチャを備えています。そのアーキテクチャのバックボーンとなるのが Amazon Relational Database Service (Amazon RDS) for MariaDB で、これを使用すると、クラウドでの MariaDB サーバーデプロイを簡単にセットアップ、運用、およびスケーリングできます。MariaDB は、MySQL によって作成されたオープンソースのリレーショナルデータベースです。「顧客データの分離を非常に強固なものにする必要があったため、最大限の分離が可能なマルチテナンシーを選択しました」と Gawne 氏は説明します。「セキュリティの観点からすると、バックアップと復元に関しては管理がより簡単ですが、追加の保護レイヤーを提供することもできます。データがすべて同じ場所にあるわけではないので、アプリケーションソフトウェアの問題が原因で他のテナントのデータが露出する可能性は低くなります」。 特にクラウドベースのサービスを使用する場合、Altium にとってセキュリティが不可欠です。Altium は、Amazon RDS で毎日数回の自動バックアップを実行しています。「私たちは今日、過去には必要のなかった方法で顧客のデータを管理しており、それには大きな責任が伴います」と Gawne 氏は言います。
Altium は、4 つのグローバルリージョンで需要が増加しているにもかかわらず、AWS 上で Altium 365 の高いパフォーマンスと可用性を維持してきました。クラウドでセキュアかつサイズ変更可能なコンピューティングキャパシティを提供する Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2) 上でアプリケーションスタックを実行している Altium は、Amazon EC2 Auto Scaling を使用してコンピューティングキャパシティのプロビジョニングおよび自動スケーリングを行います。データストレージ側では、Amazon RDS と Amazon S3 が必要に応じて高速なスケーリングを行います。あらゆる規模の負荷の高いワークロードに対して、Altium は Amazon Elastic Block Store (Amazon EBS) を使用しています。Amazon EBS は、Amazon EC2 で使用するために設計された、使いやすく高性能なブロックストレージサービスです。
これらの AWS のサービスはすべて、Altium が使用する複数のアベイラビリティーゾーン全体で運用されています。「どこからでもアクセスでき、コラボレーションできることが重要です」と Gawne 氏は言います。「どこにいても、どのデバイスからでも、AWS 上の Altium 365 にアクセスして、必要なことを行うことができます」。
フルマネージド型の非永続的なアプリケーションおよびデスクトップストリーミングサービスである Amazon AppStream 2.0 を使用することで、Altium はユーザーがウェブブラウザで Altium Designer に瞬時にアクセスできるようにします。「ユーザーが特定の機能あるいは性能を念頭に置いている場合は、Amazon AppStream 2.0 を使用すると、アプリケーションの事前設定が簡単で、その機能や性能を顧客に公開することで顧客が簡単に確認できるようになります」と Gawne 氏は言います。
現在、Altium は AWS 上で本番環境をホストするだけでなく、社内のすべての開発環境とステージング環境も AWS 上でホストしています。「開発エンジニアをオンボーディングする際、彼ら用の新しい開発環境を簡単に立ち上げることができます」と Gawne 氏は言います。「本番環境を厳密にレプリケートするステージングエリアがあるため、本番環境にロールアウトしたときに問題なく動作するという確信が持てます」。
業界の変革をリードする
将来的に、Altium は、設計者と製造プロセス間の関係をより緊密にすることで、収量の向上、および製品のコストと市場投入までの期間の削減を目指しています。Altium 365 は、エレクトロニクス業界の流れを変えるゲームチェンジャーです。Altium Designer と組み合わせることで、Altium 365 は、エレクトロニクス業界に変革をもたらします。それには、設計の進化に伴うすべての主要な関係者間のシームレスなコラボレーションを通じて、PCB 設計者、機械エンジニア、メーカー、部品サプライヤー間のギャップを埋めることが必要です。
AWS を使用して Altium 365 を作成することで、Altium は、設計、製造、および供給というこれまで切り離されていた分野をループ状に結束させました。これにより、シームレスなコラボレーションが可能になり、設計プロセス中の時間、コスト、および労力を節約し、より高収量の製品をより迅速に作成することができるようになりました。AWS において、Altium は電子設計業界を変革する革新的なリーダーであるという評判を維持しています。
詳細については、aws.amazon.com/rds を参照してください。
Altium について
1985 年以来、Altium はプリント回路基板 (PCB) 設計ソフトウェアの開発の最前線に立っています。同社のフラッグシッププログラムである Altium Designer は、世界中の PCB 設計者から第一候補に選ばれています。
AWS の利点
- 設計者、エンジニア、メーカー、およびサプライヤーの間にある断絶を取り除きます
- 4 つのグローバルリージョン全体でユーザーのコラボレーションを可能にします
- チームがより高収量の製品をより迅速に作成できるようにします
- 高いパフォーマンスと可用性を提供します
- 高速なスケーリングを行います
- 開発サイクルをより効率化します
- データベースの自動バックアップを毎日実行します
使用されている AWS のサービス
Amazon EC2
Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2) は、安全でサイズ変更可能なコンピューティング性能をクラウド内で提供するウェブサービスです。デベロッパーがウェブスケールのクラウドコンピューティングを簡単に利用できるように設計されています。
Amazon S3
Amazon Simple Storage Service (Amazon S3) は、業界をリードするスケーラビリティ、データ可用性、セキュリティ、およびパフォーマンスを提供するオブジェクトストレージサービスです。
Amazon RDS for MariaDB
MariaDB は、MySQL のオリジナルデベロッパーが作成した人気の高いオープンソースのリレーショナルデータベースです。Amazon RDS を使用すると、クラウドでの MariaDB サーバーデプロイを簡単にセットアップ、運用、およびスケーリングできます。
Amazon AppStream 2.0
Amazon AppStream 2.0 は、フルマネージド型の非永続的なアプリケーションおよびデスクトップストリーミングサービスです。
開始方法
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